時はいつのまにか経ち、春分はもう目の前。
秋の頃からすすめていた、お風呂場に菓子製造工房をつくること。
クラウドファンディングという初めてのチャレンジを経て、みなさんの温かな支援が集まって、やっとやっと、私たちがつくったお菓子を販売できることとなりました。
長かった。
いろんな壁や、波があった。
そのひとつひとつを乗り越えてきた感じがしています。
そして越えるたび、あたらしい風景が見えて、ここまで辿り着くことができました。
今日、みんなでできたてのクッキーやグラノーラを袋に詰めたり、ラベルを貼ったりしている風景を見て、こうなることを描いていた自分がいて、それは始まったばかりだけれど、もうずっとこうしてきたような、馴染んだ風景でした。
まず、私たちは正統なやりかたで店を営んでおらず、
(でも正統ってどんな?ってことなのだけど)
その都度そのつど、自分たちの「こうしたい!」という感覚にしたがってやってきた経緯があります。
開店資金がないに等しく、
でも銀行からお金を借りず、
助成金も受けず(イコールお金を借りることだと、書類は書いたことがあるから知りました)、
ビジネス講座やそのたぐいの本など一切覗かず、
その道の人(コンサルって言うんでしょうか)にも相談せず、
わが道をゆくで、右往左往しながらやってきました。
だから、思い描くことがすべてでした。
自分たちの必要な場所を。
食べたいごはんを。
一緒にやりたい人とやりたいことを実行することを。
そこにもうひとつ、思い描いたお菓子が加わりました。
お菓子といっても、ストレスを解消する甘いものではなく、
せっかくならば、その時間が楽しく豊かになるものがいい。
食べてしっかり身になるものなら、もっといい。
そんなふうに描いたカタチが、どんどん膨らんでいきました。
実はわたしは甘辛味が好き。
でもその甘みが強すぎて、お茶を飲まずにはいられないのが、
お茶のための甘いもののような気がして、
飲まなくてもいられる甘さのものが欲しかった。
あと、孫たちを通して食べたがるものを見ていると、
欲しがる甘さと刺激は、どんどんエスカレートして、
味覚がお菓子によってダメージを受けている気もしていました。
だから、甘すぎず、後ろめたくなく、子どもと一緒にたべられるものを作りたいと思ったのです。
身近にあたりまえにある素材を使うと、
私たち作る側にも負担がないし、
からだにも同じことが言えることは、
ごはんをつくりながら、気づいたこと。
米・豆・味噌・醤油・・・。
いつも使っている素材には、自然の甘味やうま味もある。
そんな素材をお菓子の姿でも表したいと、
オリジナルの型も作成してもらいました。
それらを紹介してくれる、キャラクターも生まれました。
その時のミーティングの楽しかったことといったら!
切ったり貼ったり、一番生き生きする大きさや形を考えてくれたのは、わっしーさんこと、わしずひろあきさんです。h
とり?りす?おじさん?なんともいえない姿で登場してくれます。
わっしーさんの発案で、お菓子を届けるお手紙もつくったので、
手に取って見てみてくださいね。
できあがったものはまだ数種ですが、
この基本形からまた新しい何かを、生み出していける気がしています。
いつもそうしてきたように思い描いているし、そこにわくわくしている自分もいるのです。
春分の日、3月21日から販売するお菓子は、
『わのおかし』と名付けました。
そこには、和の素材・和む・輪になる。などの意味合いも込めています。
お菓子作りは、まだまだ未熟で経験が少ないわたしたちです。
クッキー2種、グラノーラ2種からのスタートです。
どちらも、武骨で素朴で、ありのままのような焼き菓子ですが、
だれもが負担なく食べ続けられるようなものたちです。
これからも応援してくださっている方や、来てくださる方の気持ちを糧に、
みなさんにも自分たちにも、必要なものを生み出していきます。
おもしろがって、あたかかく見守ってくださったら幸いです。
ともみ